巻き舌でいざ、”NOVELLO(ノベッロ)”。

11月6日は、イタリアの新種ワインを味わう”NOVELLO(ノベッロ)”の解禁日。
ボジョレー・ヌーボーのフランスの新種ワインの解禁と同様、こちらはイタリア版だ。
10月中旬に収穫されて瓶詰めされて、空輸されてずらずら成田に到着して関税を通過して・・・と、6,000マイル空を飛んで来る。
ボジョレー・ヌーボーとの最大の違いは、ぶどう品種がいろいろさまざまあること。
そしてボジョレーより、輸入数が少ない分、プレミアム感が増すということ。
この一言は、私に限って、かもしれないけれど。
とにかく、何はさておき、11月の声を聞いたら巻き下で”NOVELLO!!!!!”なのだ。

”NOVELLO”の説明は、いろんなイタリア通が説明をしてくださっているので、私だったらこんなレシピで味わうをお届けしたい。
”その年のブドウの収穫を祝う”というお祝いのレシピを食したい。
どんどんコルクが抜かれ、ぐいっとワインを流し込むレシピがいい。
それは何かと尋ねられたら。

肉だし、にんにくだし、クレソンだっし〜。


【塩豚とクレソンのガーリックソテー】

(2人前)
 塩豚 … 200g
 クレソン(茎) … 2束
 にんにく … 2片
 鷹の爪 … 1本
 胡椒 … 適宜
 白ワイン … 大さじ2

 <作り方>
 1.塩豚を1cmくらいの厚さにカットする。※まだ表面が塩っぽかったら塩を洗い落とす。
 2.クレソンの茎を食べやすい長さにカットする。
 3.にんにくはみじん切りにし、鷹の爪は種を抜いておく。
 4.フライパンに塩豚を並べ片面をジックリ焼きながら、脂を出す。
 5.脂が出たらにんにくと鷹の爪を入れ、脂に香りを移しつつ、塩豚をひっくり返し、白ワインをふりアルコールを飛ばす。
   塩豚をフライパンの片側に寄せる。
 6.空いたスペースにクレソンを入れ、ソテーし、塩胡椒をする。

豚肉を選ぶのは、さまざまな”NOVELLO”の味わいに合わせやすいこと、そして重たさと軽さを兼ね備えた旨味のある素材だと思っているから。
そしてやっぱりにんにくと鷹の爪は、イタリアの味という感じで、この味付けをしたい。
クレソンは、口の中をさっぱりさせてくれるのと同時に殺菌、消臭効果もある優れものだ。

全ては”NOVELLO”のために、の解禁日にしたい。
6,000マイル彼方にある生産者に敬意を払い、言葉も交わしたことのない彼らの葡萄に想いを馳せながら、
グラスを掲げ、『Salute !!!!(サルーテ)』『Cincin !!!!(ティンティン』と乾杯をしたい。
杯を重ね、日付が変わる頃、ステムのないグラスにワインが注がれたら、今年の”NOVELLO”の終焉を迎える。
そして、”NOVELLO”はワインだけじゃないのだ・・・次回のグストグスとへ続く。
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秋本番、柿の食し方論争。

秋本番の11月。
食欲の秋、読書の秋、芸術の秋・・・秋はなにかと忙しい。
おとなり、おフランスのボジョレー・ヌーボーの解禁も待ち遠しい。
レストランでもカフェでも芋栗南瓜の秋のメニューが、行進しているように並んでいる。
確かにこれらは秋の味覚で、もれなく私も大好物の旬である。
しかーし。
私がこの時期、というより秋に必ず食すのは、『柿』を使ったレシピ。
特に柿に思い出があるわけでもなく、特別な思いがあるわけではないのだけれど、
旬を味わうつくすために皮を剥いてそのままいただくだけれは物足りない身体にすっかりなってしまっている。
秋の夜長を過ごす愛しい人たちとの宴に、ちょっとした驚きとドキドキ感を提供したい、そんな風に思うのだ。
食してしまえば消えてしまう“食”を、思い出に変えていくのも私の大事な役割だと思っている。

そういえば、柿を題材にエッセイを書こうと思った時に、思い出したことがある。
母と父の柿の食し方論争だ。
言ってしまえば、ピッチピチを食したい父と、熟しに熟して腐る手前で食したい母。
夫婦のここは譲れないところであり、父のフルーツと母のフルーツを買う。
もちろん共通の食し方があるフルーツに関しては、そんな面白いことはしないのだが、その代表のひとつに柿があった。
一貫して父はピッチピチ派なので、「食すにしてもまだ固い!」という母にいいから食べさせろと皮を剥かせ口に運ぶ。
そんな父の姿を、一番美味しい時を味わないのは罪だわと母は言う。
確かにかっくんとアゴが動く柿は固そうと、子ども心に思っていたけれど、ちゃんと私の柿も用意され、
父と一緒にかっくんとアゴを動かせして柿を食した。
母?間違っても食さなかった。
そんな母が嬉々として柿を口に運ぶ時がやってきた。
父から遅れること1週間余り、それは冷凍庫に入っている。
冷凍庫に入れないと持てなくなるほど熟した柿、皮がないと実が解け出そうになった柿。
それをそろそろとお皿に移し皮を剥かれた柿は、シャーベットのようになっている。
その柿にブランデーをたっぷりかけて食す母。
たまらない顔をしている母と、それを信じられないという顔で母をみつめる父。
もちろんちゃんと私も柿も用意され、母といっしょにシャーベットのような柿にブランデーをかけてもらって食す。

こうやって、私は柿の食し方に関してはバイリンガルになった。
そして、父が好きな柿の食し方も、母が好きな柿の食し方も、私は甲乙付け難く、
どちらの柿も大好きな私はそこだけ親孝行な娘だと思っている。
ピッチピチから熟しきった柿の味を知ったがゆえかどうかは定かではないけれど、私は柿をパスタやリゾット、サラダにすることを思いついた。
フルーティーで、少しの酸味と甘味、そして秋の食材独特の深みはそれらによく合って、とても思い出に残るレシピになった。
まさか、私が大人になって、柿をパスタやリゾットやサラダにしているとは努々思っていない両親に、
私は未だ柿のレシピを作ったことがない。

前略、お父様、お母様、ピッチピチよりもじゅくじゅくよりも柿の実力ここに極めたりって感じです・・・。
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【柿と生ハムのタリアタッレ】


 タリアタッレ … 180g

 柿(完熟) … 大2個
 生ハム … 4枚
 バター … 20g
 オリーブオイル … 小さじ1
 にんにく … 1片
 白ワイン … 大さじ1
 塩/胡椒 … 適宜

 スイートバジル … 4枚

 <作り方>
 1.柿の皮を剥き、1コと半分をフードプロセッサーでペースト状にし、残りを櫛形に4等分しておく。
 2.鍋にバターとオリーブオイルを熱し、みじん切りにしたにんにくを炒め香りが立ったら
   柿のペーストをいれ、馴染ませたら白ワインを入れアルコールを飛ばす。
 3.タリアタッレを茹で、2の鍋にゆで汁お玉1杯分といれあおりながら、塩胡椒をする。
 4.器に盛り、適当な大きさにカットした生ハムをちらし、スイートバジルで彩る。
ボナペティート!!!!! 

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ハロウィンの妄想。

ハロウィンというおどろしいお祭りのことを知ったのはいつだったのか、
もう思い出せないほどハロウィンは年中行事のひとつになっていて、
10月の声を聞くと、いそいそハロウィンの飾り付けをはじめる。
オレンジと黒のシンボリックな配色と、かぼちゃと魔女と黒猫、これが定番だ。
そして、決して実現はしないのだけれど、仮装パーチーをするとしたらどんな仮装をする?という話題がこの時期決まって始まる。
魔女〜ゾンビ〜などという、ごくごく普通の仮装からムック、ガチャピン、エルモと続く。
そして、このあたりから妄想がだんだん、いや、どんどん膨らんで、仮装も華やかにかつ大胆に変わって行く。
実現はしないものの、話すことだけは年期が入っている私も同様に、華やかかつ大胆に妄想する。

アメリカンコミックヒーロー版では?という仮装妄想で、私がなりたいのはこれ!
ぎゅうぎゅう絞ってもらって、歩けなくなっちゃうかもしれないけど、キャットウーマン。
エナメルのボンテージ、手袋の先に伸びた爪、キンキーブーツ、そして長い尻尾と鞭、決めてはヌラリと光る真っ赤な唇。
あぁ、街を、バシン、バシンと叩きながら闊歩したい。
時々、シュッと飛んだりしたいけど、ワイアーアクション装置までには手が回らないし、ダメよねぇ、と妄想する。
毛繕いも出来るようになっておかなくっちゃ、色っぽくするよの、色っぽくと、
顔を手でなぞってみたり、べぇーと舌を出して首をうねらせたりしてみて、自分の猫度を計ってみたりする。
だいたいこの辺で変顔羅列になって、妄想は自然掃滅する。

こうゆうのはどう?という仮装妄想で、私がなりたいのはこれ!
リアルな熊の着ぐるみの仮装をしていると思いきや、脱ぐとマドンナ。
以前のワールドツアーの衣装で、ゴルチエのボディスーツに身を包み、
プラチナブランドをポーニーテールしていたマドンナがいい。
もちろんボディースーツのおっぱいはドリルばりに尖っていなくちゃいけない。
ライクアバージンじゃなくって、パパドントプリーチをきっちり踊りたい。
『パパ お説教しないで〜♪』と口ずさんだら、あまりの酷さに妄想は吹っ飛ぶ。

その傍らにあるのは、かぼちゃ料理。
かぼちゃって、煮て焼いて蒸してまるごと美味しい優れもの。
その甘いお味は、すっかりスイーツにも秋の味として鉄板だ。

仮装したら、食したくなるかぼちゃ料理はなぁに?

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【南瓜サラダ】

 (2人前)
 南瓜(雪化粧) … 1/2個
 クルミ … 適当
 
 <ドレッシング>
  ☆卵黄 … 1個
  ☆塩/胡椒 … 少々
  ☆白ワインビネガー … 大さじ2
  ☆オリーブオイル … 3/4
   味噌 … 大さじ3
   はちみつ … 大さじ1
   胡椒 … 小さじ1/2
   粉山椒 … 小さじ1/2弱
 <作り方>
  1.南瓜は1〜2分チンして5cmくらいに切る。(種と中わたは取り除く)
  2.1をスチーム容器にいれ、2〜3分チンする。
  3.先に☆印の調味料でマヨネーズを作り、ドレッシングの材料をすり鉢に全部入れ、よくすりながらあわせる。
  4.クルミを砕き、2と3を和えクルミを散らす。
 ボナペティート!!!!
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古代というと。

古代というと。
古代ローマ、と思い浮かぶ人は、史学に造けいがあるのかもしれないが、私の場合はちょと違う。
ちょっとじゃないかもしれない。
思い浮かぶのは「古代進」。
そう、宇宙戦艦ヤマトの主人公、実写版では木村拓哉さんが演じたあのアニメキャラクターだ。
ささきいさお氏が歌う宇宙戦艦ヤマトの主題歌は私が唯一エレクトーンで弾ける曲だ。
♪さらば〜地球よ〜旅立つ船よ〜宇宙戦艦ヤマト〜〜〜〜♪タッタラ〜タタタ、タッタラ~
何度聴いてもいつ聞いても、イントロの曲が流れるだけで血がさわぐ。
今観ても、このアニメは大人だと思う。
松本零士氏、あのベレー帽と髭の下にはロマンチックな性格が隠れているのだと思う。
始まりはこうだ。
同級生の男子はテレビアニメで宇宙戦艦ヤマトを毎週観ていた。
その放映の翌日のクラスはヤマトの話で持ち切り。
男兄弟のいない私はすっかり出遅れてしまい、ブーイングの中宇宙戦艦ヤマトの話を教えてもらった。
そして、それから毎週ヤマトを観るようにすのだけれど、アルプスの少女ハイジの誘惑にいつも負けていた。
結局私がちゃんと最初のアニメシリーズを全部完全に観るのは大人になって再放送されてだったというとは言うまでもない。
今でも浮かぶ、ヤマトがイスカンダルに到着し、星の血を引くたったひとりの生存者スターシャ映し出されたシーン。
横向きで祈りの手を胸元においているスターシャ。
今の概念でいけば、彼女は宇宙人なのだけれど地球人の私も宇宙人のひとりには違いないのを思い直して複雑な気持ちになったりしていた。
それはさておき、すっかり大人の私はきゅんきゅんしていた。
その儚げな感じ、長過ぎるまつ毛、富士の裾野のように伸びた髪の毛、長くて細い腕。
私が持っていないものを全て持っているスターシャに、やっぱり世の男性はこんな風な女性が好きなのよね。あーあ。と、
描かれているのはアニメの世界なのに、奥歯をギリリと噛んだりしていた。
古代君(この呼び方を覚えていてください。)のお兄ちゃんを虜にしていたスターシャ、ほぉらねって思ったのだ。
そして、私が本当の意味で宇宙戦艦ヤマトにハマった映画「さらば宇宙戦艦ヤマト」にシリーズとしては続くのだか、
テレビアニメをすっ飛ばし、未成年で16歳以下だった私は父親にねだってその映画を劇場で観せてもらった。
エンドロールが流れても立てないくらい、その物語の終わりに打ちのめされた純粋なROMAKO少女はえんえん泣きながら劇場を後にし、
それでも父親にねだることは忘れずサントラ盤のLPと映画のパンフレットと文庫本を買ってもらった。
家に戻ってサントラ盤を聞きながらえんえんと泣き、パンフレットを観ながらシーンを思い出しておいおい泣き、文庫本を読み始めた時に
それは衝撃となって私に落ちて来た。
こっ、これはっ!!!!!
古代進と森雪、悲恋物語じゃないの!!!!!(←当時はこんな上手に思えなかったけれど)
沖田艦長の数回忌でヤマトの乗組員が集まり思い出にふけり、平和の地球を喜びながらも平和ボケをしてしまい、
ヤマトの活躍で手に入れた幸せも記憶の彼方に忘れ去られたことに嘆きつつ、古代進と森雪の婚約に沸く。
その結婚するふたりのデートや、恋人の会話、そしてキスシーンなど、映画には無かったエピソードが文庫本には随所に色濃く語られ、
嵐の前の静けさよりも酷く彼らにはその甘い幸せが長く続かず再出動しなければならなくなることを予見させながら、 
物語はそこへ続いて行く。
古代進は森雪を地球に残してひとりで乗り込むことを決め、強くやさしく必ず還って来て式を挙げようと告げ乗り込む。
しかし、何かを予感した森雪は、古代進黙って自分も乗組員としてヤマトに乗る。
その二人の運命は・・・・、ROMAKO少女号泣す、なのだ。
森雪は、古代進をずっと「古代君」って読んでいる。
古代君、古代君、回りに夫になる相手を今も古代君はないだろうと冷やかされながらも古代君と呼び続ける。
それが、なんとなく初々しくて清楚でやさしくてか細くてきゅんきゅんなのだ。
ROMAKO少女は森雪に学んだ。
“大好きな男子のことは“君”づけで呼ぼう!”
大人になって、年齢の離れた恋人のことを君づけで読んだら『馬鹿にしているんだろう。』と振られた。
学び間違うととんでもないことになる。
ROMAKO、21才の春だった。
その年齢は、今の私からすればもう十分に古代という。

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【古代小麦のリゾット仕立て】

 (2人前)
 古代小麦 … 1カップ

 にんにく … 1片
 たまねぎ … 1/4個
 小エビ(乾物) … 25g
 オリーブオイル … 大さじ3
 ブイヨン … 600cc
 ローリエ … 1枚
 白ワイン … 50cc
 塩/胡椒 … 適宜
 パセリ … 3枝

 <作り方>
 1.鍋にオリーブオイルを熱し、芽を取ってつぶしてみじん切りをしたにんにくと、みじん切りにたまねぎを炒め
   香りがたったら、小エビを入れ白ワインを注ぎ、アルコールを飛ばしながら炒める。
 2.1に古代小麦を入れ軽く炒めたらブイヨンとローリエを入れ弱火で20分煮る。(ブイヨンが足りなくなったら新たに足す。)
 3.ほぼ水分がなくなったら、塩、胡椒で味を整え、一煮立ちさせ水分を飛ばし、みじん切りのパセリを半分混ぜる。
 4.器に盛り、残りのパセリで彩る。
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