日本の知恵とイタリアの知己を。

ローマに滞在していた時は、ホテル住まいだった。
だから当然食事は、外食。
朝から晩まで、ずーーーーーーっと外食だった。
それなのに、胃を悪くすることもなく塩分過多で身体がダメージを受けることも、2日酔いもすることなく過ごしていた。
私の身体はそれほどまでに強靭だったのだろうか?
いや、全然違う。
帰国後は、やっぱり3日外食が続くと塩分過多で身体はダメージをてきめん受けたし、胃も悪くなったし、2日酔いもなった。
当時の私は、食に携わっていてもそれは広告デザインや印刷媒体で、レシピを開発したり食材を吟味したりというセクションではなかった。
でも、今になってわかることがある。
根幹食材のなせることがあるのだ。
オリーブオイル、岩塩、硬水。
不飽和脂肪酸のオリーブオイルの国、イタリア。
ミネラルがなくとも、溶けにくいと言われていても、少量でもしっかりと塩味を得られる岩塩。
便秘解消にも役立つ硬水。
この3点セットで毎日を過ごしていたのだ。
枕が変わっても、ウォシュレットがなくでも(失礼)快適だった。
なぜこんな話しを書いているのかというと、相変わらず学習できない私は相変わらず塩分過多で身体を浮腫ませ舌先を荒らしていた。
それもちょっとだけいつもより酷くて、情けないやら腹立たしいやらで徹底的に塩を使わずに3日間料理をすることを決めたのだ。
料理をすればわかるのだけど、塩を使わないのは本当に味がぼやけて締まらず味がないという感じになる。
それをどう克服するのか?できるのか?おいっ?って自分に突っ込みをしながらレシピを考え始めた。
日本食材では昆布に、イタリア食材ではトマトに助けてもらおうとゆだねた。
そして出来上がったのがこちら。
“豚バラ肉の昆布締めと茄子のトマト煮”
豚バラ肉のブロックを日本の利尻昆布で一晩巻く。
昆布の旨味が豚バラに移って、塩で単純に味付けしたものよりもはるかに奥行きのある味になる。
トマトで煮る時のアシストをしてもらうブイヨンに、グストグストのトマトソース(伝統風味)をひとさじ加える。
このひとさじで、味が引き締まり決まる。
塩を使っていないと言わなければ、きっとわからないと思う。
そして、私はすっかりダメージを受けた身体から復活した。

【豚バラ肉の昆布締めと茄子のトマト煮】(2人前)
 豚バラ肉昆布締め(半分にして、飾り包丁を入れておく) … 200g
 長なす(ヘタを残し、切り離さないように立てに5本切れ込みを入れる) … 2本
 トマト水煮缶(ホール)(トマトをつぶしておく) … 1缶
 トマト(細の目切り) … 3〜5個
 にんにく(みじん切り) … 2片
 鷹の爪(半分に折って種を抜く) … 1本
 オリーブオイル … 70cc
 ブイヨン … 650cc
 白ワイン … 30cc
 胡椒 … 小さじ1
 トマトソース(伝統風味) … 大さじ1
 イタリアンパセリ …適宜

 <作り方>
 1.鍋にオリーブオイルを熱し、にんにくと鷹の爪を入れ炒め香りが立ったら
   豚肉の面の部分を全部焼き、にんにく鷹の爪といっしょに取り出しておく。
 2.1に長なすを入れオイルをオイルを吸わせながら焼く。
 3.2にとりだしておいた1を戻し、ブイヨンを注ぎワインを入れ煮汁が2/3になるまで煮る。
 4.3にトマトのホール缶とトマトを入れ弱火で水っぽさがなくなるまで煮る。
 5.器に盛りイタリアンパセリで彩る。

ボナペティート!!!!

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ROMAKO の紹介

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