”NOVELLO(ノベッロ)”はもちろん。

オリーブオイルでしょ、って思ったアナタ、素晴らしい。
そうなのだ、オリーブオイルにも”NOVELLO(ノベッロ)”がある。

ワインの初物”NOVELLO(ノベッロ)”とのその年の収穫を祝う、お祭りの意味がメインのワインと比べ、
摘み立ての、今年のかけがえのない新鮮さを、ていねいにレアのまま味わえることがノヴェッロ・オリーブオイルの一つの価値だと思う。
単純に言っても、オリーブオイルは新鮮なものほど、希少価値が高い。
そして、今年もエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルとなる新鮮なオリーブ果実の収穫もピークを迎えつつあって、
イタリアも食欲の秋なのねと感慨もひとしおなのだ。
とても贅沢だけれど、空輸で6,000マイル飛んで来たのを味わいたいのも『旬の味』をそのまま体感したいために他ならず、
オリーブオイルをこよなく愛する私は、どうしても伸びてしまう食指を押さえることができないのだ。
さて。
そんな時にレシピもへったくれも、実はない。
このオリーブオイルを存分に味合うには、これしかない。

【”エクストラ・ヴァージン・オリーブオイル NOVELLO(ノベッロ)”とバゲット】
 
石釜などで焼かれた、天然酵母を使ったバゲッドをお好きなサイズにカットし、
オイル皿に注いだエクストラ・ヴァージン・オリーブオイル NOVELLO(ノベッロ)に浸しながら食す。
映画「ジュリー&ジュリア」というのをご存知だろうか。
この映画では、60年代に家庭でも作れるフランス料理を研究、1冊の本に記したアメリカ人の料理研究家ジュリアと、
そのレシピを実際に作ってブログに綴ったジュリーの2000年代の実話がもとになった映画なのだけれど、
この映画には、バゲットを食す印象深いシーンがあって、私はこの映画を観てその食し方を一番最初に真似をした。
問題の(?)印象深いシーンは、時代は60年代のパリ、あるビストロにジュリアと夫とジュリアの妹とが訪れる。
そこでオーダーしたのは、バゲッド1本、ブルーチーズ、そして赤ワインを1本。
バゲッドはそのまま1本がナイフとともにテーブルに置かれ、ブロックのまま包まれたチーズがデンと置かれ、
ワインも1本ソムリエナイフとともに、ポンと置かれる。
その全ては夫側に寄せられて置かれ、テーブルでサーブをするのは夫の役目なのだと饒舌にシーンは語る。
彼はまずキュルキュルとワインのコルクを抜き、コポコポとグラスに注ぐ。
この年代の男性は、いとも簡単にギャルソンになれたのだといわんばかりのシーン、私は大好きで魅入ってしまう。
ジュリアはそのグラスをくるくる回しながら、「こんな昼間っからワインなんて。」と眉をひそめる妹に言う。
「ここはパリよ!ワインを飲んでバゲットとブルーチーズを味わうのが一番いいのよ。ほら貴女も。」とぐいっとワインを一口飲む。
そのやり取りの手前では、テーブルクロスの上で夫がガリガリとバゲッドを切り、ブルーチーズを乗せて妻と妹に手渡す。
それを一口含み、軽く咀嚼してワインを一口。
のけぞるように、胸をはり、首を伸ばしジュリアは歌うように叫ぶ。
「この相性、この素晴らしさ、もうやめられないわ!パリに来て良かった!」
そのジュリアをみつめ、目を細める夫のジュリアより小さい身体が、ひときわ大きな愛情で大きく見え、
彼の目を通して彼女の魅力を表すシーンだ。
私には、キュルキュルとコルクを抜いてくれて、ガリガリとバゲッドを切ってブルーチーズを乗せてくれる甲斐甲斐しい夫はいないけど、
でも、この相性、この素晴らしさは知っている。
それをこのジュリアを演じるメリル・ストリープにやられたら、私ごときはひとたまりもない。
もう一緒に食さないと気がおさまらない。

イタリアのオリーブオイルNOVELLO(ノベッロ)から脱線してしまったが、バゲットとオリーブオイルとの組み合わせに匹敵するほどの、
どうしても思わずにはいられない食し方なのだ。
あぁ・・・こうやって書いている今も、その素晴らしき相性が口の中に広がってもの凄く困っている。
そしてバゲッド、棒状のパンという意味を持ち、重さ250g・長さ60〜70cm前後のものをさす。
私はこの食し方で、バゲッド1本を胃袋に納めることができる強者だ。
たまらない、とまらないと食べ切った自分を、もう100%自分だと信じることが未だに不可能なほど、この食し方の魔力は強大なのだ。
そしてカロリーも。(バゲッド100g/約280kcalなので・・・。)

しかーし、今しか味わえないNOVELLO(ノベッロ)のためなら、えんやこらなのだ。

ROMAKO の紹介

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